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「2時から旅行に行くからその前に電話して。午前中やったら何時でもいいから。」と言われていたので、9時に加害者に電話したけど出なかった。外見で人を判断してはいけないのはわかっているけど、加害者はロマの人だったので余計不安になった。とりあえず薬局に行って病院で言われた薬を買った後、また電話をしたけど出ない。11時に電話しても出ない。仕方ないので“いつでもいいので電話ください。”とメッセージを送った。
病院に出すべき書類が事務所になかったこともあって、(昨日もらった電話番号、嘘やったりして…)と不安になった。でも前日病院で渡された書類の中をよく探してみたら、書類が見つかった。(疑ってごめん。)と思った。
そしてその後きちんと電話もあった。自転車も持ってきてくれた。保険会社に行ってきて手続きを始めたからとその書類も見せてくれた。
全然悪い人じゃなかった。外見で判断して悪かったと思った。
運の悪いことにDの勤め先は従業員がDを入れて3人で1人が休暇中なので、午前のシフトを支店長、午後のシフトをDが担当し、どちらも休めない状況で、しかも支店長は次の日から休暇に入ることになっていた。電話してDが交通事故に遭ったこと、少なくとも今日は仕事に行けないことを連絡したけど、午前と午後のシフトを1人で担当しないといけない可能性を前にした彼女の声はめちゃめちゃ怖かった。
「病院に行って必ず病欠許可を取って来なさいよ。」と言われた。
スペインではかかりつけのお医者さんが病欠許可を出してくれた場合は、そこに書かれている期間の給料を社会保険庁が会社に払うので、欠勤にならない。私のかかりつけの先生と違ってDの先生はすごくいい人だったけれど、診察をし、事故の状況を聞いた後、「これは労災だからここでは病欠許可は出せない。会社の“ムトゥア”に行かないと。」と言われた。
先生の説明してくれたところによると、勤務時間の前後1時間の事故は労災と見なされ、労災の場合は社会保険庁ではなく、会社が契約している保険会社(ムトゥア)が医療費をカバーするらしい。(ややこしい。)Dが事故に遭ったのは仕事場を出て10分後だったのでもちろん労災。
欠勤するって連絡したときに支店長がムトゥアについて教えてくれてたら無駄にかかりつけのお医者さんのところに行かないで済んだのに!
帰って支店長に連絡したら、午後をカバーする人が見つかっていたので、朝ほどは機嫌が悪くなかった。支店長はムトゥアについて調べて電話をかけなおしてきた。
ムトゥアの場所は隣町でしかもかなり不便な場所だった。その時点で夕方6時。「明日行ったらいいですか?」とDが聞いたら「何言ってるの。今日中に行かないとダメよ。」と言われ、仕方なくそれから隣町へ。
駅からタクシーに乗ろうとしたけれど、タクシー乗り場に一台も止まっておらず。電話番号もわからない。Dが「そんなに遠くないから歩こう。」と言うので歩いた。ムトゥアの病院は工業地帯にあり、途中の道は人がほとんど通らない道ばかりでかなり怖かった。(病院に行く途中で強盗に遭ったりしたらシャレならんよな。)と思いながら歩いた。
20分ほど歩いて、言われた住所にやっとたどり着いたと思ったら、入り口がわからない。グルッと建物を一周してみたけれど入り口と思しき場所は閉まっていて暗い。Dは支店長から住所しか聞いていなくて電話番号もない。(怪我しているところをこんな遠くまで来たのにもしかして診察時間終了??)とガックリしていたところ、中に人影発見!
さらに探してやっと入り口が見つかった。診察時間終了20分前に滑り込みセーフ。
診察の結果、とりあえず1週間は仕事に行かないでいいことになった。「病欠許可を出すには会社のサインがいるから、明日この書類を持って会社に行って、サインをもらった後FAXでここに送ってね。」と受付で言われた。
あっちに行ったりこっちに行ったりで疲れ果てて帰宅。しかもDの記憶はいまだあやふやで、5分前に言ったことを覚えていなかったりするので、どこに行っても私がきちんと聞いてないといけない。スペイン語ができてよかったと思ったけれど、スペインの医療システムがわかっていないので、相手の話す内容に知らない単語がなくても意味がわからないことも多々あった。それと平行して自分の仕事に関係する電話もかかってくるので、頭がパンク寸前だった。
ぐったりして寝る準備をしていたら、電話がかかってきた。「昨日事故の連絡した者ですが、彼の容態はどうですか?」と言われ、お礼の電話をしようと思ってすっかり忘れてしまっていたのに気づいた。恥ずかしかった。「ごめんなさい。お礼の電話しようと思っていたのにすっかり忘れてしまって…」と謝った後、Dに替わった。(本当ならいったん電話を切ってこっちからかけなおすべきやったんやろうな。)Dは割と長い間その人と電話でしゃべっていた。Dの容態だけでなく、「僕が見た限りはいい人そうだったから大丈夫だと思うんだけど」と、加害者とちゃんと連絡が取れているかも心配してくれてたらしい。人類すべてこういう人ばっかりだったら世界は平和なのに、と思った。
先週の木曜日、Dが交通事故に遭った。Dが仕事から戻る時間に知らない番号から電話がかかってきて、出たら「彼氏に頼まれて電話してるんだけど…」と男性の声。
気が動転してその時何を話したかはっきり覚えていない。ただ、重傷ではないことと、救急車で運ばれるところなのを聞いたのは覚えている。「どこの病院に運ばれるんですか?」と聞いたら「今わからないからまた後でかけます。」と言われ、その後すぐ同じ人が電話をくれたので、支度をして病院に行った。
日本ですらこういうシチュエーションに陥ったことがないので、何を持っていくべきなのかもわからず、とりあえずDの健康保険証だけ持って、6年間も住んでいたのに1度も行ったことがなかった町で一番大きい病院に行った。
受付で名前を言うと、診察室に通された。車椅子に座っているDを見てちょっと安心した。顔の左半分に怪我をしていたけど、右半分と頭には怪我がなかったから。Dの自転車にぶつかった車の運転手さんが付き添っていて、どういう状況で事故が起きたのかを教えてくれた。
そして、「病院に出さないといけない書類があって、僕が書かないといけない分はもう書いておいたから。そこに僕の連絡先、車のナンバー、保険番号も書いてあるから、後で事務所でその書類をもらって、よくなったら彼の分を書いて提出して。」と言われた。Dの自転車はその人の車に積んであって、次の日家に持ってきてもらうことになったので、その書類にも書いたけど念のために、と彼は電話番号をくれて帰っていった。
看護婦さんが「彼女が来たわよ。」とDに言ったら、「彼女?彼女はスペインにいないんだけど。」と言い、私を見て「なんでここにいるの?」と聞いてきた。「事故に遭ったって電話もらったから。」と言うと、「日本にいるんじゃないの?」と言うのでびっくり。
車が自転車の後輪にぶつかって転倒して顔から落ちたのでどうもそのときのショックで記憶が飛んでいるらしく、病院で色々検査をしてもらう間、どうして私が日本にいないでスペインにいるのか、どうやって病院まで来たのか、怪我はひどいのか、今日は何年何月何日かなど、何回も同じ質問をしてきた。どういう風に事故が起きたのかや、事故の後、近くにいた人に私に電話するよう頼んだことは全く覚えていなかった。
幸い怪我は大事に至っていなかったので、家に帰れることになった。受付で加害者の人に言われた書類について聞いたら事務所の場所を教えてくれたので聞きに行くと、「そんな書類ないわよ。」と冷たく言われた。そもそもその書類がどういう書類なのかもよくわかっていないので説明してもらおうと質問したけど、答えがそっけなく、疑問が解決できないまますごすご退散。タクシーを呼ばないといけないので受付に戻り、今度は受付のおばさんに聞いてみた。おばさんは管轄外なので書類についてはわからないけれどもう1回聞いたほうがいいから、と一緒に事務所までついてきてくれた。
そして加害者の人が言っていた書類は、彼が「本人に渡すから。」と持っていったことが判明。さらにスペインでは医療費は通常無料なんだけど、交通事故に関しては加害者の保険会社が払うことになっていて、その書類は病院が加害者の保険会社に請求するために必要な書類で、病院にはコピーなんてないので、保険会社とコンタクトが取れない場合はDに請求がいくと言われ、青ざめた。私の頭には(もしかしてトンズラ?)と恐ろしい考えが浮かんだけど、親切なおばさんが「とにかく明日その人に電話してみなさい。」と言うのでとりあえずタクシーで帰った。
家に着いたのは午前1時前。Dが繰り返す質問には、今日の日付、私がどうしてスペインにいるかに加え、歯が全部そろっているかが加わった。ふざけているのかと思うぐらい頻繁に同じ質問をしてくるので答えるときに笑ってしまうぐらいだった。
今回乗ったルフトハンザ機は3ヶ月前から一気に“ハイテク化”していた。各々のシートの前方に個別にスクリーンがついているだけでなく、そのスクリーンはタッチスクリーンだった。
で、それで機内で過ごす時間が快適になったか?
否。
状況によっては肯定的な答えができていたかも知れないけど、少なくとも今回のフライトで無理やり通路側を希望したために後方の座席で“トラまみれ”(わかる人にはわかる。)になった私にとっては、快適ではなかった。
私の後ろの席は60代のおばさん。タッチスクリーンの使い方がわからない。画面に触れるだけでいいのに、画面をぐいぐい押してくる。銀行のATMだったらいくらでも下に向かって画面を押し付けてくれて構わないけれど、今回おばさんのスクリーンの後ろには私の頭がある。おばさんが画面を連打するたび、私の椅子がガンガン揺れる。最初は我慢していたけれど、「おかしいわー。全然動かへん。」と機内アナウンス中も攻撃してくるので、さすがに後ろを振り向いて、
「機内放送中は動かないんです。」
と教えてあげた。
その後おばさんは使い方を学習したか?
否。
フライトの間、ずっとおばさんがスクリーンで何かしたがるたびに私の頭はグラグラ。「そんなに押さなくても反応しますよ。」と言いたい気持ちもあったけど、日本人らしく黙って我慢することにした。
ハイテクスクリーンでは10本も映画が選べ、テレビ番組だって何本も見られたにもかかわらず、私の見たいものが全然なかった。寝たり本を読んだりして時間をつぶしていてふと前を見たら、ちょっと前のほうに座っているおじさんの画面に時代劇らしき映像が。
木村拓哉の顔が出てきたので、『武士の一分』らしい。どっちかというとキムタクは嫌いだけど、他に見たいものもないし、下についている英語の字幕がおもしろそうだったので見てみようと思った瞬間、ふと(あれ?この映画、選択肢の中にあったっけ?)と思った。
ハイテクスクリーンを駆使して探しまくったけれど、見つからない。仕方がないのでスッチーを呼んで質問。ドイツ人スッチーは日本語が読めないので、日本人スッチーを呼びに行った。日本人スッチーがする操作はすべて私がすでに行った操作で(そうやって探してもないねんけどなー。)と思いつつもおとなしく彼女のすることを見ていた。
日本人スッチーは、そのお客さんのところに聞きに行った。
「『武士の一分』という映画だそうです。」
それはもうわかっているのだ。
彼女はさっきと全く同じ操作を繰り返したけれど、さっきなかった映画が急に現れるはずがない。
スッチーはまたそのお客さんのところに聞きに行った。
新しい情報によると、おじさんはタッチスクリーンではなく、手元にある従来のチャンネルを使ってこの映画にたどりついたらしい。
でも日本人スッチーは、そこから映画を選ぶ方法を知らない。ドイツ人スッチーも来たけど彼女にもわからない。
恐るべしハイテクスクリーン。
スッチーにもわからない“裏番組”があるらしい…
昨日友だちと晩ごはんを食べに行き、「お茶しよう。」と店を出た。コートについているベルトがブラブラしていていつか落とすんじゃないかと心配だったけど、自分では格好良く結べないので、友だちに頼んだ。
「こうやって結んでもいいけど、ポケットに入れてる人もいますよね。」
と友だちが言ったので、
「でもこのコート、ポケットないねん。去年買ってけっこう気に入ってるねんけど、唯一それが失敗やわ。買うときにちゃんと確かめればよかった。」
と答えた。
「ポケット全然ないんですか?」
と聞かれ、
「いや、飾りのポケットはあるねんけど、フタされてて使えないねん。」
と答えたら、
「えー、それって入り口縫ってあるだけじゃないんですか?ポケットのついてないコートってありえないですよ!」
と友だち。
そしてコートをひっくり返して裏から見てくれたけれど、裏地があるのでわからない。
「多分、ポケットに物を色々入れたらポケットのところが膨れて格好悪いからつけてないんちゃう?」
「そのコート、スペインで買ったんですか?」
「日本。」
「じゃあ絶対ポケットありますよ!よくスーツとかでもポケットの入り口縫ってあるけど、ちゃんと糸切ったらポケットありますもん!」
「でも、このコートちょっといいコートやから、きっと気取ってるコートはポケットに物を入れないんやろうってうちのお母さんも言ってたで。しかもそういう縫ってるのって割としつけっぽく縫ってるやん。すぐわかるように。でもこれはめちゃきっちり縫ってあるもん。」
「スーツでもきちんと縫ってるのはけっこうきっちり縫われてますよ。」
そうやって彼女と話している間、指でポケットの入り口をなぞっていたら、隅っこからスルッと小指が入った。しかも小指の先で探った感じでは、どうも裏地が前にも後ろにもきちんとついているっぽい。
「穴開いた!しかもポケットあるっぽい…」
「絶対ありますって!!」
以降、ポケットが気になって気になって、もう歩いている間彼女との会話に集中できなかった。しゃべりながらも右手の指はずっとポケットをほじくっている状態。最初は小指しか入らなかった入り口からは人差し指が入るようになり、そして指が2本入るようになり…
スタバに到着してすぐ見ると、縫われている糸の状態がはっきりわかり、それをほどいていくと立派なポケットが出現!
「ポケットあった!!」
「そりゃあありますよ!母子でないと思ってたなんて。」
明らかに友だちはあきれていた。
帰宅して母にコートを見せたらびっくりした後、
「もしかして…」
と自分のジャケットを持ってきた。
そのジャケットもポケットがすごくきっちり縫われていたので、私のコートの例がなければまたしても母子は『ポケットのない不便なジャケット』という分類で片付けているところだったけど、小指が入りそうな端っこが発見され、そこからは私のコートと同じ。
「うっそー!ポケットあるんやったら、もっとしつけ糸でわかりやすく縫ってほしいわ!なんでこんな風にミシンで縫ったみたいにしてあるんよ!!」
となぜかキレる母。
私はもともとポケットにいっぱい物を入れる人間なので、去年の冬は本当に不便だったけど、今年は友だちのおかげでそんな思いをしなくて済むようになった。
もつべきものは友だち。